今回は5GスマートフォンZTE Axon 30 Ultraをレビューしていきたいと思います!
ZTE Axon 30 Ultraは中国の通信大手のZTEが手掛けたフラッグシップ・スマートフォン。ここ最近は、ミドルレンジ~ローエンドのスマートフォンを手掛けていた同社ですが、最高性能のSoC、ペリスコープを含むクアッドカメラを搭載したフラッグシップで勝負に出てきました。
果たしてその実力は?筆者は、見た目が気に入ったことと、その性能を確かめたくなってしまったので思わず買ってしまいました。というわけでレビューをしていきます。
技適未取得機器を用いた実験等の特例制度について
この記事で紹介している「ZTE Axon 30 Ultra」は日本国内で発売されていない技適未取得機器に該当します。筆者は技適未取得機器を用いた実験等の特例制度に基づき総務省に申請を行ったうえで使用・検証を行っています。
※日本版は技適取得機器なので届け出は必要ありません。
ジャンプできる目次
- 1 ZTE Axon 30 Ultraは、所有欲を満たす優れたビルドクオリティ
- 2 ZTE Axon 30 Ultraの有機ELディスプレイは大画面・10億色・144Hz駆動
- 3 ZTE Axon 30 Ultraは最強スペックのSnapdragon 888搭載
- 4 ZTE Axon 30 Ultraは合計2億画素のクアッドカメラ搭載
- 5 ZTE Axon 30 Ultraは65Wの有線急速充電を搭載
- 6 ZTE Axon 30 Ultraはデュアルスピーカー搭載
- 7 ZTE Axon 30 UltraはWidevine L1に対応
- 8 ZTE Axon 30 Ultraスペック表&その他のポイント
- 9 ZTE Axon 30 Ultraレビューまとめ:手堅くまとまったクアッドカメラが楽しめる安価な旗艦
ZTE Axon 30 Ultraは、所有欲を満たす優れたビルドクオリティ
ZTE Axon 30 Ultraの本体と重量・サイズ感をチェック
ZTE Axon 30 Ultraはカーブした側面と巨大なカメラユニットが特徴の端末です。グローバル版のカラーは擦りガラスのブラック一種のみですが、光の加減で紺色にも見えます。
巨大なカメラユニットは3つの6400万画素カメラとペリスコープカメラ、レーザーAF、LEDフラッシュが収められており、非常に目立つデザイン。光の加減で虹色に鈍く輝きます。
カメラユニットはかなりの出っ張り具合で、ケース無しで使うには勇気がいります。
端末の側面部分はカーブを描き、持ちやすい設計です。サイズは、縦161.5mm、横73mm、厚み8mm、重量188gと昨今のフラッグシップ端末としては控えめで、長く持っていてもそれほど疲れません。
天面は平らになっており、マイク穴があります。
底面には、スピーカー穴、充電ポート、マイク穴、SIMカードスロットがあります。
端末正面から見て、左側面にはボタンや穴等は全くありません。
端末正面から見て、右側面には音量操作ボタンと電源ボタンがあります。
背面パネルの下部には「ZTE 5G」のシンプルなロゴのみがあります。
ZTE Axon 30 Ultraと付属品をチェック
ZTE Axon 30 Ultraのパッケージは、黒地に「30」のゴールドの印字が印象的なパッケージです。
パッケージ内容
✅本体
✅充電器&ケーブル
✅TPUクリアケース
✅イヤホン
✅有線イヤホン変換アダプタ
✅SIMピン
✅説明書等
内容物は以上の通り。フィルムは付属していませんでした。
説明書はマルチランゲージ仕様で、日本語の解説もありました。
ZTE Axon 30 Ultraの有機ELディスプレイは大画面・10億色・144Hz駆動
ZTE Axon 30 Ultraは6.67インチの大画面の有機ELディスプレイを搭載しており、10億色の鮮やかな色表現が可能です。また、リフレッシュレートは最大144Hzと非常に高く、滑らかなスクロールが可能です。ただし、144Hzは対応していないアプリが多く、大半は60Hz~120Hzで動作します。
ディスプレイの側面はエッジがかかっており、ジェスチャー操作と相性が良いです。
ディスプレイの上部中央にはパンチホールがあり、インカメラが収められています。パンチホールは小さめであまり目立ちません。なお、画面フィルムが付属しなかったので、別売りのものを貼り付けました。
ZTE Axon 30 Ultraは最強スペックのSnapdragon 888搭載
ZTE Axon 30 UltraはQualcomm Snapdragon 888を搭載。「AnTuTuベンチマーク(Ver.9)」を使って性能を計測したところ約78万点と非常に高いスコアを記録しました。UFS3.1のストレージ規格とLPDDR5のメモリ規格にもそれぞれ対応しているので、アプリの起動やスクロール動作等、非常にキビキビ動作します。
ただし、Snapdragon 888搭載端末の多くがそうであるように、ZTE Axon 30 Ultraも熱を持ちやすい端末です。一方、最新の液体冷却システムを搭載しているので、冷えるのはそれほど遅くないように感じました。
ZTE Axon 30 Ultraは合計2億画素のクアッドカメラ搭載
・メイン(広角):6400万画素(SONY IMX686, OIS)
・超広角:6400万画素(SAMSUNG GW3)
・ポートレート:6400万画素(SAMSUNG GW3)
・ペリスコープ:800万画素(Omnivision OV08A10, OIS)
ZTE Axon 30 Ultraは、「トリニティカメラ・システム」と名付けられた合計2億画素のカメラユニットを備えています。構成は、6400万画素のメイン(広角)・超広角・ポートレート(2倍望遠)が3つと、800万画素のペリスコープ(5倍望遠)となっています。
また、動画も最大8Kでの撮影が可能です。フレームレートは30FPS、60FPSに対応しますが、8Kの場合は30FPSのみになります。
ギャラリー
メインカメラはナチュラルな色合いと強力なボケが特徴
ZTE Axon 30 Ultraは、AI補正でより色濃く鮮やかな写真を撮ることができます。


上記のスライダー付き画像は、左がAI補正なし、右がAI補正ありとなっています。ZTE Axon 30 Ultraはそれほど濃くも薄くもないナチュラルな色表現で、AI補正を入れると気持ち色濃くなる程度です。
また、メインカメラは強力なボケが特徴で、被写体を非常に印象的に捉えます。
逆光耐性も強力で、太陽の強い閃光をしっかり押さえこんでおり、黒潰れも起こしていません。
2倍ポートレート、5倍ペリスコープ、超広角カメラで多彩な撮影体験が可能
ZTE Axon 30 Ultraは2倍のポートレートカメラ、5倍のペリスコープを搭載しているので、高精細なズーム写真を撮影できます。また超広角カメラも搭載しているので、より広い画角での撮影も可能です。
- 1倍
- 2倍
1倍と2倍でそれぞれ撮影してみました。どちらも6400万画素のセンサーなので、解像感のある写真が撮影可能です。
こちらは5倍ペリスコープでの撮影です。こちらも流石に専用のカメラというだけあり、解像感は悪くありません。
更に10倍ハイブリッドズームで撮影しました。少々デジタルズーム感はあるものの、十分実用的な性能です。
最大で60倍ハイブリッドズームが可能です。ここまで拡大すると写真としては流石に粗くなってしまいますが、遠くの看板の文字を確認する等には使えそうです。
こちらは超広角カメラで撮影。メインカメラやポートレートカメラと同様に6400万画素センサーを搭載しているので、解像感のある仕上がりです。
しっかり輪郭を捉えるポートレートモード
ポートレートモードで撮影しました。細いストローの輪郭がくっきり捉えられるだけでなく、背景が強めにボケており、印象的なスナップが撮影可能です。
夜景モードは光量がある程度あればキレイに撮影可能
ZTE Axon 30 Ultraは夜景モードを備えています。こちらは比較的明るめの体育館前での撮影で、綺麗な写真に仕上がっています。色は若干赤めに感じました。


こちらのスライダー付画像は、左が夜景モードなし、右が夜景モードありでの撮影です。体育館前での写真よりも暗い場所であり、夜景モードを使うことで、より明るめに撮影できることが分かります。
スーパームーンショット
ZTE Axon 30 Ultraは「スーパームーンショット(月モード)」という機能を備えています。こちらの機能は、メインカメラとペリスコープで同時に撮影し2つの写真を合成することで、実際よりも月を巨大化した写真を生成できるモードです。スマートフォンだからこそ成せる芸当で、うまく使えば印象的な写真が撮影できそうです。
ZTE Axon 30 Ultraカメラ総評:一番の武器は強力なボケ
筆者のZTE Axon 30 Ultraのカメラの評価を以下にまとめました。
ポイント
✅4つのカメラで様々な距離から撮影が可能
✅過度に濃くないナチュラルカラー
✅メインカメラは強力にボケる
✅夜景はある程度の光量があれば綺麗に撮れる
✅スーパームーンショットで月を巨大化できる
総評としては、強力で印象的なボケと、多彩な距離からの撮影体験が可能な点が魅力と感じました。メインカメラには、最高性能ではないものの優秀なセンサーであるIMX686が搭載されており、実際に撮影してみるとボケが非常に強いことが分かります。何でもボケればいいという訳ではありませんが、ボケを上手く使うことで印象的な写真を生み出せます。
これに加えて、ポートレートカメラ(2倍望遠)、超広角(0.5倍)、ペリスコープ(5倍)を備えたことで、様々な距離での撮影に対応しています。
他社のフラッグシップ・スマートフォンと比べると、搭載しているセンサーは劣りますが、その分安価で購入することができるのもポイントでしょう。
ZTE Axon 30 Ultraは65Wの有線急速充電を搭載
ZTE Axon 30 Ultraは高出力の65W急速充電を搭載しています。
そこで、急速充電器を用いてバッテリー残量が0%の状態からの充電時間を実際に計測してみました。詳細は以下。
充電時間 | バッテリー |
30分 | 63% |
40分 | 76% |
50分 | 90% |
54分 | 100% |
満充電にかかる時間は約54分でした。たったの30分で63%まで充電され、1時間未満で満充電されます。速いと言えば速いのですが、他社のものだと同じような出力で30分程度で満充電可能なものもあり、それと比べると見劣りします。
また、ワイヤレス充電も非搭載となっています。
ZTE Axon 30 Ultraはデュアルスピーカー搭載
ZTE Axon 30 Ultraはデュアルスピーカーを搭載しており、Dolby Atmosと同等のサラウンド技術である「DTS: X Ultra」にも対応。立体的で没入感のあるサウンドを楽しむことができます。
ただし、3.5mmイヤホンジャックは非搭載。有線イヤホンを接続する場合は、付属のType-C変換アダプタを使う必要があります。
ZTE Axon 30 UltraはWidevine L1に対応
ZTE Axon 30 UltraはWidevine L1に対応しているので、Amazon Prime VideoやNetflix等の動画配信サービスを最高画質で楽しむことができます。
Widevineは、Androidタブレットやスマートフォンの著作権保護機能で、最高L1~最低L3まであり、L3の場合は最高設定にしても標準画質になってしまいます。
※ただし、AmazonのみはアプリだとHD再生ができない可能性があります。ブラウザでは問題ありません。
ZTE Axon 30 Ultraスペック表&その他のポイント
ZTE Axon 30 Ultraのスペック表は以下を参照してください。
ZTE Axon 30 Ultra (グローバル版) |
|
OS | MyOS11 (Android 11) |
SoC(CPU) | Snapdragon 888 |
メモリ/ストレージ | メモリ:8 / 12GB ストレージ:128 / 256GB LPDDR5 UFS3.1 |
ディスプレイ | 6.67インチ、有機EL リフレッシュレート:144Hz 10bit, HDR10+, 100% DCI-P3 |
アウトカメラ | クアッドカメラ構成 メイン (広角):6400万画素 超広角:6400万画素 2倍望遠:6400万画素 ペリスコープ:800万画素 |
インカメラ | 広角:1600万画素 |
バッテリー | 4,600mAh 65W急速充電 |
オーディオ | デュアルスピーカー DTS: X Ultra |
生体認証 | 画面内指紋認証, 顔認証 |
SIMスロット | デュアルSIM |
対応バンド | 5G: n1/n3/n28/n41/n78 4G FDD: B1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28 4G TDD: B34/38/39/40/41 |
サイズ | 約161.5 x 73 x 8 mm |
重量 | 188g |
カラー | ブラック |
価格 | $749~ |
また、スペック表には載らないその他の仕様について以下にまとめました。
その他のポイント
✅独自UI「MyOS」は、ほぼAOSP
✅プリインストールは、ほぼGoogle系アプリのみ
✅独自ギャラリーアプリなし
✅Dual VoLTEに対応
✅防水規格はなし
ZTE Axon 30 Ultraレビューまとめ:手堅くまとまったクアッドカメラが楽しめる安価な旗艦
ポイント
✅意外にコンパクトで優れたビルドクオリティ
✅Snapdragon888搭載のハイパフォーマンス機
✅様々な距離での撮影に対応したクアッドカメラ
✅メインカメラはとにかくよくボケる
✅他社フラッグシップよりも安い
ZTE Axon 30 Ultraのレビューをお届けしました。
一番の魅力は、様々な距離での撮影を可能にしたクアッドカメラと、メインカメラのボケの強さです。主要メーカーのフラッグシップと比べて劣る部分や、安い理由等を感じてしまう部分はあるのですが、意外にも手堅くまとまっています。
パフォーマンス面ではSnapdragon 888を搭載し、LPDDR5とUFS3.1のストレージ/メモリ規格にそれぞれ対応しており、他社と見劣りしていません。またディスプレイも珍しい144Hzに対応しており、 デュアルスピーカーも安物間のない迫力のあるサウンドが楽しめます。
フラッグシップとしては2021年の最強クラスではありませんが、日本円で約8.2万円であることを考えるとコストパフォーマンスは決して悪くない端末です。