「Xiaomi Buds 3T Pro」は、シャオミの完全ワイヤレスイヤホン。市場想定価格は税込2万3,800円と同社としては高価な製品です。
その分、高音質を追求したチューニングや、アクティブ・ノイズキャンセリング(以下ANC)、外音取り込み機能を備えるハイエンド製品となっています。
筆者は、本機を発売してすぐに手に入れて実際に使用してみたので、以下レビューをお届けします。

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Xiaomi Buds 3T Proの特徴
Xiaomi Buds 3T Proの主な特徴は以下の通りです。GoodポイントとBadポイントに分けてまとめました。
Good
✅高音質ハイエンド完全ワイヤレスイヤホン
✅空間オーディオ、LHDC 4.0対応
✅最大40dbのANC/外音取り込み対応
✅うどん部分をつまんで操作。着脱検知もあり
✅ワイヤレス充電対応
✅あらゆる方向の水しぶきから守るIP55
✅カスタマイズやANC強弱設定等が可能
Bad
✅空間オーディオ、LHDC 4.0を使えるスマホが限られる
✅カスタマイズやANC強弱設定等はXiaomiスマホ限定の機能
以上の通り、ハイエンド製品らしく高音質以外にも様々な付加価値があるのですが、現状では本領を発揮できるスマホは限られています(後述)。
Xiaomi Buds 3T Proを開封
Xiaomi Buds 3T Proのパッケージです。中央にイヤホンが描かれており、波紋のような模様があります。
上蓋を開けるとイヤホンケースが登場。中蓋は模様ではなく本当に波打ったような形状になっています。
中身はイヤホン本体・ケースの他、イヤーピース(S/M/L)、充電ケーブル、解説書等が含まれていました。
ケースは楕円形のよくある形状ですが、マットな質感で青光りする個性も持ち合わせています。
裏側のヒンジ部分には「XIAOMI」のロゴがあります。また、下部にはType-Cポートがあります。
蓋を開けるとイヤホン本体がお目見え。こちらもケースと同じくマットな質感となっています。

イヤホン本体は「つぼみ」から「うどん」が伸びているよくあるタイプです。
人間工学に基づいた設計というつぼみ部分は大きめのサイズで存在感があります。とは言っても、耳介に軽く引っ掛けるだけで固定されるので、大きさはそれほど問題ではありません。
うどんの先端にはメタリックな装飾があり、デザイン面でアクセントになっています。
Xiaomi Buds 3T Proを実際に使ってみて
音質は流石のハイエンド級!2万円分の価値あり
Xiaomi Buds 3T Proは、2個のネオジム磁石とダイヤモンドライクカーボン振動版による超高感度ダイナミックドライバーを備えています。
このような高級イヤホンで重視になるのは音質です。なぜなら、近年のトレンドであるANCや外音取り込みは、既にシャオミも含め数千円台クラスの製品の選択肢が複数あるからです。
この点について、Xiaomi Buds 3T Proは十分に基準値をクリアしたイヤホンだと思います。ダイナミックドライバーという性質上、低音豊かなウォーム系の音作りですが、中音域や高音域も潰れておらず良好な音質。柔らかく尖りのないサウンドが楽しめます。

LHDC 4.0、空間オーディオ、低遅延モードが使用できるスマホは限られる

全機能が使えるのはXiaomi 11T Proだけ?
本機の売りの一つとなっているのが、ハイレゾ相当の最新Bluetoothコーデック「LHDC 4.0」に対応していることです。しかし、これは接続するスマートフォンもLHDC 4.0に対応していなければ使えません。
また、本機が曲者なのはLHDC 4.0に対応しているが、おそらくその他のLHDCによる接続はできません(複数のXiaomi、OPPO端末で確認)。そして、LHDCが使えなければ低遅延モードも使用できません。
【2022.3.24追記】Xiaomi 11T Proに「MIUI 13」アップデートが配信され、LHDCおよび低遅延モードが使えるようになりました。現時点で公式に記載がないため、LHDC 4.0に対応したのか、通常のLHDC接続ができるようになったのかは不明です。
また「空間オーディオ(3Dオーディオ)」についても、同様にXiaomi 11T Proはアップデートで対応しています。この技術は、簡単に言えば音場を広げる効果があります。
音質そのものが向上するわけではなく、自分のまわりに音が広がって聴こえる感覚を疑似的に作り出す機能です。一方、クリア感が損なわれ若干籠ったような感じになるので、正直微妙です。

いずれにせよ、どちらの機能も対応している機種がほとんどないので、気になる方は注意して購入しましょう(これらの機能について、他の機種でも対応を確認した方は、記事のコメント欄で教えていただけると幸いです)。
とは言え、搭載しているドライバーやチューニングが優秀なので、AACでも十分素晴らしい音質です。
最大40dbのANCと外音取り込みは平均的
Xiaomi Buds 3T Proは最大40dbカットのアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載しています。
これによる単純なノイズのカット量はかなりのもので、機能をオンにした瞬間、周辺の環境音がスッと消える感覚が味わえると思います。
また、対応しているXiaomiのスマホであれば、ANCの強弱を以下の3段階で調整することができます。
・ライト
・バランス
・ディープ
また、周囲の環境に合わせて自動で調整してくれる「アダプティブ」モードもあります。
しかし、ANCをオンにするとイヤホン自体から「サー」という微かなノイズが発生するようになります。勿論、これによる周囲音カットの方が効果は遥かに大きいのですが、気になる方は気になるかもしれません。
なお、こうした問題は他社製の多くの製品でも確認できるので、本機が明確に劣っているわけではありません。ほとんどノイズが発生しない「SONY WF-1000 XM4」のANCの完成度には、多くの他社製品は達していないと思います。

また外音取り込みにも対応(アプリ内では「透明性」と表記)しており、こちらも価格の近い他社製と同等程度の性能だと思います。効果的に周囲の周囲音を増幅してくれるので、より音をはっきり聞き取りたい時には便利な機能です。
なお、こちらは対応しているXiaomiのスマホであれば、以下の2つのモードを使うことができます。
・音声増幅(音声のみ増幅)
・外部音取り込み(通常の外音取込)

なお、その他のスマホでもANC/外音取込は使えますが、このような細かな調節はできません。
軽い付け心地。IP55なのでトレーニング中の使用もOK
Xiaomi Buds 3T Proは、大きなドライバーユニットや複数のマイクを備えているためか、イヤホンのつぼみ部分は中々の存在感があります。
しかし、装着する際には軽く耳介に引っ掛ける程度でしっかり固定されるので、あまり気になりません。人間工学に基づいたデザインになっているとのことで、付け心地は違和感なく軽やかです。
また、イヤホン本体はIP55規格に対応しているので、あらゆる方向からの水しぶきから保護。トレーニング中の使用で、汗が多少つく程度なら特に問題なく使用できました。

うどん部分をつまんで操作可能。着脱検知機能もあり
Xiaomi Buds 3T Proはスマホからでなく、イヤホンのうどん部分をつまんで操作(ピンチコントロール)することができます。操作方法は左右同じで、以下の通りとなっています。
1ピンチ | オーディオの再生、一時停止 通話に応答 / 通話を終了 |
2ピンチ | 次のトラックにスキップ 着信を拒否 |
3ピンチ | 前のトラックにスキップ |
長くピンチ | ANC / 外部取込 / 機能オフ 切り替え |
また着脱検知機能があるので、イヤホンを耳から外してオーディオを停止、付け直して再生されるようになっています。
一方、音量操作ができないのは残念なところ。なお、対応するXiaomiスマホならば操作方法の簡単なカスタマイズも可能です。
Qiワイヤレス充電、Type-C急速充電対応
Xiaomi Buds 3T ProはType-Cによる有線充電の他、Qi規格のワイヤレス充電に対応しており、置くだけのストレスフリーな充電が可能です。
使用可能時間は、AAC接続 / 音量50%でANC等を使用しない通常再生の場合、イヤホンのみで最大6時間、充電ケース込みで最大24時間となっています。
筆者がLHDC 4.0で接続し、ANC最大(ディープモード)、音量約70%程度で使用してみたところ、使用時間はその約3分の2といったところでした。
Xiaomiスマホならペアリングとカスタマイズが楽々
Xiaomi Buds 3T Proはワイヤレスイヤホンなので、本来スマホのBluetooth設定からペアリングを行います。
しかし、対応するXaiomiスマホであれば、イヤホンケースを開けると以下の通りポップアップが表示され、半自動で接続が可能です。
ポップアップ左下の「接続」をタップするだけでペアリングが簡単に完了します。
なお複数の端末とペアリングが可能ですが、最後に接続した端末に自動で接続される仕様になっています。
別の端末に接続するためには、ケースの充電ポートの隣りにある丸ボタンを2秒間押してリセットする必要があります。
対応するXiaomiスマホであれば、Bluetoothの接続機器に表示される「Xiaomi Buds 3T Pro」の右にある「>」をタップすることで、以上のようなカスタマイズ画面を呼び出せます。
ここから、ANCの強弱設定や外音取込のモード変更、ジェスチャー(ピンチコントロール)のカスタマイズ等が可能。LHDC 4.0や空間オーディオ対応機であれば、その項目も表示されます(上掲のスクリーンショットはXiaomi 11T Pro 日本版のもの)。
なお、このようなカスタマイズを他のAndroidスマホで可能にするアプリ「Mi Buds M8」をGoogle Play(リンク)からインストールすることができるのですが、現状(2022年3月22日時点)では本機は対応していないようでした。
Xiaomi Buds 3T Pro スペック表
Xiaomi Buds 3T Proの主なスペックは以下の通りです。
Xiaomi Buds 3 Pro | |
ドライバー | ダイナミックドライバー |
Bluetooth | Low Energy 5.2 |
対応コーデック | LHDC 4.0 / AAC / SBC |
ANC | 最大40db |
外音取り込み | あり |
バッテリー持ち (ANCオフ) |
イヤホン本体:6時間 充電ケース込み:24時間 |
防塵防水 | IP55 |
充電 | Type-C Qiワイヤレス充電 |
重量 | イヤホン:約4.9g×2 ケース込み:約48g |
その他 | 空間オーディオ、低遅延モード、 ピンチコントロール |
市場想定価格 | 税込2万3,800円 |
Xiaomi Buds 3T Pro レビューまとめ:製品としては高く評価。商品としては微妙
Xiaomi Buds 3T Proのレビューをお届けしました。実際に使ってみて感じた主な特徴は以下の通りです。
ポイント
✅高額イヤホンらしい優れた音質を楽しめる
✅ANC/外音取り込みは価格相応
✅空間オーディオ、LHDC 4.0、低遅延は使えるスマホが限られる
✅カスタマイズやANC調整などはXiaomiスマホに限られる
✅軽い付け心地。ピンチ操作も使いやすい
✅IP55の防塵防水、Qiワイヤレス充電に対応
高価な完全ワイヤレスイヤホンに求められるのは、まず素晴らしい音質と、優れたANC/外音取り込み等でしょう。この点、本機は平均かそれ以上の出来となっていると思います。
一方、シャオミ製品には高いコスパを求める方が多いと思います。その点では、本機には「空間オーディオ」「LHDC 4.0」「低遅延モード」といった付加価値が備わっています。
しかし、現状(2022年3月24日時点)これらの機能は、日本で正規流通しているスマホでは「Xiaomi 11T Pro」のみの対応の可能性があります(前述)。
その他の付加価値として、IP55の防塵防水やQiワイヤレス充電への対応等がありますが、本機が特別優れている要素ではありません。
また、ストアで手に入るアプリには対応しておらず、カスタマイズやANCの調整などはXiaomiスマホに内蔵のソフトで行います。
そのため、この"優れた"イヤホンは現状ではシャオミのファン・アイテム的性質が強いものですが、Xiaomi 11T Proユーザーなら優秀なお供として機能するでしょう。