Vivoは日本ではあまり有名ではありませんが、中国では大手のスマートフォン・メーカー。カメラに拘りのあるメーカーとして知られていますが、今回ご紹介する「iQOO 7」は最高のパフォーマンスに拘った「iQOOシリーズ」の最新フラッグシップモデルです。
なお、今回レビューするにあたって仲良くさせていただいているはなもげらさん(Twitterアカウント)に端末をお借りしました。ありがとうございます!
それでは以下レビューをどうぞ。
技適未取得機器を用いた実験等の特例制度について
この記事で紹介している「iQOO 7」は日本国内で発売されていない技適未取得機器に該当します。筆者は技適未取得機器を用いた実験等の特例制度に基づき総務省に申請を行ったうえで使用・検証を行っています。
ジャンプできる目次
iQOO 7のスペック
iQOO 7 | |
OS | Android 11, OriginOS |
CPU | Qualcomm Snapdragon 888 |
メモリ | 8/12GB LPDDR5 |
ストレージ | 128/256GB UFS 3.1 |
リアカメラ | 広角メイン:48 MP ポートレート:13 MP 超広角:13 M |
インカメラ | 広角:16 MP |
ディスプレイ | 6.62インチ, AMOLED 1080 x 2400 (FHD+) アスペクト比:20:9 リフレッシュレート:120Hz タッチサンプリングレート:通常300Hz, 瞬間1000Hz HDR10+ |
バッテリー | 4000mAh 120W超急速充電 |
サイズ | 162.2 x 75.8 x 8.7 mm |
重量 | 209.5g |
オーディオ | ステレオスピーカー |
生体認証 | 画面内指紋認証, 顔認証 |
4Gバンド | TDD-LTE:B34 / B38 / B39 / B40 / B41 FDD -LTE:B1 / B2 / B3 / B4 / B5 / B7 / B8 / B12 / B17 / B18 / B19 / B20 / B25 / B26 / B28 |
5Gバンド | n1 / n3 / n28 / n38 / n41 / n77 / n78 / n79 |
カラー | グレー, ブルー, ホワイト(BMW) |
iQOO 7は独自UI「Origin OS」を搭載しており、SoCにはQualcomm Snapdragon 888を採用。LPDDR5やUFS3.1の規格にも対応し、有機ELディスプレイのリフレッシュレート120Hz、タッチサンプリングレート通常300Hz、瞬間1000Hzと、超ハイスペック。
極めつけは120Wの超急速充電を採用していることで、公式では15分で満充電が可能とのこと。とにかく何でも速いのがこのスマホの特徴です。
iQOO 7の箱と中身・本体をチェック
iQOO 7の箱と中身をチェック
iQOO7の化粧箱です。かなり厚みがありズッシリ。しっかり「BMW M Motorsport」の文字とロゴがあり、高級感があります。
中身はこんな感じ。以下にリストアップしました。
・スマートフォン本体
・クリアケース
・フィルム(貼付済み)
・120W急速充電器&ケーブル
・SIMピン
・カード、説明書等
普通のスマホのセットと違うのはBMWカードの有無。充電器は中々のサイズ感です。
120Wの専用急速充電器。側面にはうっすらと120Wの刻印があります。なお、当たり前ですがPSEマークはありません。
クリアケースはハードタイプで、BMWエディション専用のデザインが入っています。ただ側面がガッツリ空いているタイプなので、気になる人は別途ケースを用意した方が良いかも。
iQOO 7本体の外観・細部・重量をチェック
デザインはBMW特別仕様。白い背面に「BMW M」のイメージカラーである赤、青、紫(ネイビー)の3色ストライプが入っています。
天面にはマイク穴、底面にもマイク穴に加えて、スピーカー、充電ポート、SIMスロットがあります。右側面には青い電源ボタンと、音量調節ボタン、左側面には特に何もありません。
ディスプレイの上部真ん中にはパンチホールカメラがあります。最初から貼付済みのフィルムは硬めで指滑りが良いですが、キズの付きやすいタイプ。2、3か月使うと小キズだらけになると思われるので、替えのフィルムを買っておきましょう。
カメラユニットのアップ。トリプルカメラはピラミッド型の独特の配置で、その下部にあるシルバーのプレートにはiQOOのロゴとフラッシュライトがあります。
3色ストライプのアップ。「Fascination Meets Innovation」と書かれています。直訳だと「魅惑と新たな切り口の出会い」でしょうか。
背面の側面部分は丸みを帯びています。大きめで重量感もある端末なので、こういう握りやすい形の方がありがたいですね。
付属のクリアケースを装着してみました。元々のデザインにケースのデザインが重なり更にかっこよくなります。側面を保護しないタイプのケースなので、そこは気になりますが、このデザインのためだけに付けたくなっちゃいますね。
なおケース装着時の重量は227gでした。結構ズッシリしますが、丸みを帯びた側面のおかげで割と持ちやすいです。
iQOO 7のAntutuスコア & ゲーム性能を検証
iQOO 7は最新ハイエンドSoCのSnapdragon 888を搭載しています。Antutuベンチマークを常温の部屋で3回連続で動かしたところ、3回目は流石にかなりポカポカしていましたが、スコアはかなり安定していました。
「原神」を動かしてみました。専用のゲームモードを備えており、「モンスターモード」にすれば最高のパフォーマンスを発揮します。またタッチサンプリングレートは瞬間1000Hz、通常300Hzと非常に高速なのでゲームには最適です。
iQOO 7のカメラ性能を写真作例多めに検証
リアカメラ(トリプル)
・メイン(広角):48 MP, f/1.8, 26mm, 1/2.0", 0.8µm, PDAF, OIS
・超広角(マクロ):13 MP, f/2.2, 120˚, 16mm
・ポートレート:13 MP, f/2.5, 50mm, 1/2.8", 0.8µm, PDAF, 2倍光学ズーム
インカメラ
・インカメラ(広角):16 MP, f/2.0
iQOO 7が備えるカメラは以上の通りです。超広角カメラがマクロ機能を備えており、被写体にかなり寄って撮影することができます。また、ポートレートカメラも2倍光学ズーム機能を備えており、望遠カメラの代替になります。
ある程度のことは全部できるので良く言えば「万能」。一方で特別秀でたところは何もないので、悪く言えば「器用貧乏」でしょうか。
AI補正


左がAI補正なし、右がAI補正ありです。ONにすると、より明るく鮮やかに色味を補正してくれます。
デジタルズーム・超広角撮影
超広角カメラとメインカメラの1倍~20倍の各写真をスライドショーでご確認ください。専用の望遠カメラは搭載していませんが、2倍までなら光学ズームをサポート。それ以上はデジタルズームです。流石に最高倍率の20倍まで拡大すると粗さが目立ちますが、5倍程度なら実用的かと思います。
スーパーマクロモード
超広角カメラがマクロ機能を備えているので、被写体に寄ると自動でマクロモードに切り替わります。多肉植物に寄って撮影してみましたが、小さなトゲトゲをかなり細かく捉えることができました。写真をタップすると拡大できるので見てみてください。
ポートレートモード
ポートレートカメラを搭載しているので、被写体の輪郭を比較的正確に捉えています。よく見るとフィギュアの髪の先端が若干甘かったりするのですが、性能は高い方かと思います。
夜景モード


夜景モードを使えば、暗いところでもより明るく撮影することができます。夜景モード(右)の方が明るくノイズも少ないので、タイルをはっきり描写できています。
画像編集機能


Vivoのギャラリーアプリは非常に機能が多彩で、かなり細かい補正が可能です。作例では、背景(空)を変化させるモードで雪山を出現させています。青空や夜空にすることも可能です。
またこのような機能も。ぼかしを撮影後でも調整することができます。
iQOO 7の動画撮影時の手振れ補正を検証
・画質:4K、1080P、720P
・フレームレート:60FPS、30FPS
・OIS、強力手ぶれ防止機能あり
1080P/60FPSの手振れ補正
1080P/60FPSであれば非常に強力な手振れ補正が効きます。走ってもほとんど手振れがありません。
4K/30FPSの手振れ補正
4K/30FPSでは少し手振れ補正が弱くなってしまいました。
4K/60FPSの手振れ補正
4K/60FPSでは手振れ補正がもっと弱くなります。ただし、走ってこれなので走らなければ十分実用的と思われます。
iQOO 7の独自UI「Origin OS」は面白い&癖強め
最新のVivo端末は独自UIの「Origin OS」を搭載しています。従来のVivo端末は「Funtotch OS」というものを搭載していたのですが、主な違いは見た目にあります。
Origin OSはアプリとウィジェットが融合
Origin OSではアプリアイコンは丸みを帯びたスクエア型になり、見た目にはiPhoneに近いものになります。一部のアプリはサイズを拡張することができ、タップする箇所によって動作が異なります。
例えば、カメラアプリは右側のカメラマークをタップすると、通常通りカメラが起動します。一方、左側の「LENS」をタップすると、以下のようにカメラモードを選ぶ機能が開きます。
このようにアプリとウィジェットが融合した状態を作り出せるのが面白いのですが、現状は一部のプリインストールアプリだけの模様です。
クセが強い + いろいろ問題あり
ポイント
・GMS手動導入の必要あり
・通知、権限設定が複雑
・ほとんど日本語だが一部アプリ、機能が中国語
・謎の通信が多い
一部のプリインストールアプリは中国語で、この通りデフォルトのアプリストアも中国語。ただし、「Google」で検索するとGoogle関連アプリが出てくるので、それをインストールすれば半自動でPlayストアが入るため、GMS導入は簡単です。
※Vivo端末はグローバル版でも手動で導入する必要があるとのこと。
また通知・権限設定が複雑です。通知がちゃんと来てほしいなら、通知と自動起動を許可し、バッテリー最適化・スマート通知コントロールを切っておくのが無難です。
あと謎の通信をしています。Twitter上に以下のような報告がありました。まあ一般人が企業や政府の機密情報を持っているわけではないので、だからどうしたという感もあるのですが、何の通信か分からないので怖いことは怖いです。
iQOO 7は120Hz有機ELディスプレイ採用
iQOO 7はHDR10+に対応した色鮮やかな有機ELディスプレイを搭載しています。明るさも十分で、直射日光下でも見にくいことはありませんでした。
また画面の動作は120Hzに対応しており、非常にヌルヌル動きます。120Hz時のiQOO 7(左)と60Hzの端末(右)で動作を比較したスローモーション動画をご覧ください。明らかに動きがなめらかです。
iQOO 7のバッテリー持ち・充電時間を検証
充電時間を検証
1分 | 5分 | 10分 | 16分 |
8% | 44% | 77% | 100% |
iQOO 7は独自の120W超急速充電に対応しています。付属の専用充電器で、バッテリー残0%の状態から充電してみたところわずか16分で満充電になりました。
寝る前に充電などもはや不用。シャワーを浴びている間に充電が終わります。
バッテリー持ちを検証
iQOO 7 | OPPO Reno5 Pro+ | Realme 7 5G | Redmi Note 9s | iPhone SE | |
搭載SoC | Snapdragon 888 (ハイ) |
Snapdragon 865 (ハイ) |
Dimensity 800U (ミッドハイ) |
Snapdragon 720G (ミッドハイ) |
A13 Bionic (ハイ) |
検証1時間後 | 95% | 92% | 92% | 96% | 91% |
検証2時間後 | 88% | 83% | 84% | 91% | 78% |
iQOO 7は4,000mAhの大容量バッテリーを備えており、持ちは優秀です。機内モードでWiFiに接続し、Amazon Prime Videoで動画を2時間再生したところ上記の結果になりました。
OPPO Reno5 Pro+やRealme 7 5Gが普通くらいなので、バッテリーの鬼Redmi Note 9sとその中間といったところ。ハイエンドSoCを搭載した端末としてはかなり優秀かもしれません。
ただし、リフレッシュレート120Hz固定だと、減りはかなり速くなると思われるので注意。デフォルトの可変モードにしておくのが無難です。
海外端末に詳しいnakajimegameさんも以下のように仰ってました。
iQOO 7の生体認証は顔・指紋ともに爆速
iQOO 7の生体認証は顔認証と画面内指紋認証の両方に対応。どちらも爆速で精度も良く非常に優秀です。
iQOO 7の対応バンドはかなり広い
・4G:B1 / B2 / B3 / B4 / B5 / B7 / B8 / B12 / B17 / B18 / B19 / B20 / B25 / B26 / B28 / B34 / B38 / B39 / B40 / B41
・5G:n1 / n3 / n28 / n38 / n41 / n77 / n78 / n79
iQOO 7の対応バンドは非常に広く、特に4Gバンドは日本の三大キャリアのバンドのほとんどに対応しています。日本でも出してくれるのかと勘ぐってしまいますね。
iQOO 7を買うメリット・デメリットは?
iQOO 7を買うメリット5点
ポイント
✅Antutu72万点、パフォーマンスは最強クラス
✅16分で終わる驚異的な超急速充電
✅120Hz、HDR10+対応の有機EL
✅見た目が楽しいOrigin OS
✅日本円で6.3万円でコスパ良し
iQOO 7を買うメリットを以上の5点にまとめました。非常に高い処理性能、120Hz有機ELとハイエンド端末に必要な性能は抑えつつ、最強の充電速度とパフォーマンスはもはや無敵。
またOrigin OSも他社UIとは全然違うので面白味があり、日本円で約6.3万円とコスパも悪くありません。
iQOO 7を買うデメリット5点
ポイント
✅GMSは手動導入の必要あり
✅クセの強いOrigin OS
✅ハイエンドとしてはカメラは最低限
✅重量は209gと重め
✅謎の通信をしている
iQOO 7を買うデメリットを以上の5点にまとめました。GMS手動導入の必要性があったり、通知設定がややこしかったりとクセが強いですが、この点はちゃんと設定することと慣れの問題です。
カメラ性能は大抵のことはできるものの、特に秀でた部分がありません。強いて言うなら高画素のマクロ撮影ですが、それも他のVivo製端末に搭載されているものと同様です。
重量は209gと重めでケース込みだと227g。重い端末が嫌いな人は気になるかもしれません。なお謎の通信については、大陸版端末は大体こうなので仕方ありません。気になるならゴニョりましょう。
iQOO 7を買うなら大陸版?グローバル版?
そもそもiQOO 7はグローバル版が発売されていません(2021/3/7時点)。ただし、Vivo端末は大陸版でもグローバル版でもGMSはデフォルトで非搭載で、それほど大きな違いはないようです。仮にグローバル版が出ても値段が高いと思われるので、欲しければ大陸版で問題ないかと思います。
なお大陸版でもGoogle自動入力が使えました。
iQOO 7レビューまとめ:早い話、速いです。
Vivo iQOO 7レビューをお届けしました。
独自UIの「Origin OS」は設定項目が多く、他にない面白さがありますが、通知・権限設定が複雑だったりGMSの手動導入が必要だったりとクセの強さもあります。
しかし、Antutu72万点の最強パフォーマンスに加え、16分で満充電できる超急速充電、120Hzディスプレイととにかく"早い話、速いです。"LPDDR5とUFS3.1に対応し、タッチサンプリングレートも瞬間1000Hz、通常300Hzとぬかりありません。
カメラ性能はそこそこでも良いので、とにかく速いスポーツカーみたいなスマホが欲しい人やプレミアムなBMWデザインを求める人にはオススメの端末です。