規制間近とも言われる「1円スマホ」施策ですが、2023年も各所の初売りセールで1円やそれに近い価格で販売される「iPhone」や「Pixel」シリーズが確認されています。
筆者も地元のイオン内のエディオンにて、多数の1円スマホ(Pixel 6a、iPhone 13シリーズなど)を確認したのでご紹介します。

Google Pixel 6aは返却不要で1円
筆者が実際にエディオンで確認した施策で最もお得なのは、ソフトバンク版「Google Pixel 6a」です。
▽Pixel 6aの1円施策(ソフトバンク、au)
こちらの画像では、ソフトバンク(左)とau(右)が最終的に1円となりますが、実はよりお得なのはソフトバンクの方です。仕組みを表にまとめると以下の通りです。
ソフトバンク | au | |
本体価格 | 67,680円 | 53,270円 |
①端末値引 | △45,679円 | △5,829円 |
②乗換値引 | △22,000円 | △22,000円 |
③2年後返却 | 不要 | △25,440円 |
最終負担額 | 一括1円 | 実質1円 |
ポイント | Google Play 5,000円分 | エディオン 22,000円分 |
仕組みとしては、2つないしは3つの値引き施策を組み合わせる方式ですが、auは購入から約2年後に返却して25,440円の残債を免除して実質1円としています。
一方、ソフトバンクは端末そのものを大幅に値引きしており、2年後の返却は不要です。auはエディオンポイント22,000円分が貰えるようですが、それを踏まえても一括1円となるソフトバンクの方がお得。また、値引き方法も2つなので分かりやすいです。
ソフトバンクの回線契約による値引き(△22,000円)は「他社から乗換+メリハリ無制限加入」あるいは「5~22歳の方が新規契約+スマホデビュープラン+(20GB)またはメリハリ無制限加入」で適用されるものですが、重要なのは端末そのものの値引き。
こちらは、単体購入でも適用される△45,679円もの大型値引きのため、回線契約なしでも一括22,001円で購入できてしまいます。

こうした施策は基本的には回線契約を得るためのものですが、法律で回線契約による値引きは税込22,000円までに規制されています。そのため、各社は端末そのものを値引きしたり、返却プログラムを組み合わせて一括または実質の1円を実現している訳です。
なお、今回の施策はソフトバンクが1月4日、auが1月10日までとなっていますが、店舗スタッフの方に確認したところ、1月7日からもソフトバンクで同様の施策があるとのことでした。
ソフトバンク版のPixel 6aは、エディオンだけでなくヨドバシカメラ等、その他の大型家電量販店でもこうした施策を頻繁に行っているため、気になる方は是非狙ってみると良いでしょう。
▽年末に行われていた新宿ヨドバシカメラの施策(同様のもの)
なお、筆者が確認したエディオンの店舗では、iPhone 13(128GB)や、Google Pixel 7(128GB)等が実質1円(または24円)なっていましたが、いずれも約2年後に返却で残債を免除する方式です。
▽実質1円(または24円)の例

ドコモ版iPhone 13は完売していた
また、ソフトバンクのiPhone SE(第3世代)は返却不要で一括9,800円でした。
▽左がソフトバンクのiPhone SE(第3世代)の広告
「1円スマホ」規制は時間の問題と言われている
以上のように、回線契約を獲得するために、本来は高額なスマホが一括または実質「1円」で販売されています。
こうした施策は、全国の大型家電量販店や大型ショッピングモールにて、主に週末や大型連休に行われており、大盛況となっています。一見ユーザーにとっては、ありがたみしかないのですが、健全な市場という観点からは大きな問題を孕んでいます。
以上の「1円スマホ」の元値は、安くても5万円台。高いものだと10万円を超えます。こうしたスマホを1円にしてしまう極端な値引は、大手キャリアと比べて企業体力のない格安SIM業者が行うのは難しく、独占禁止法に抵触する可能性があります。また、端末が市場価値よりも超格安で販売されてしまうことで、それらの機種がフリマアプリ等でそのまま転売されてしまう問題も起きています。
こうした状況は、かねてより総務省や公正取引委員会が問題視しており、昨年10月には公正取引委員会が強制調査に乗り出したという報道もありました。さらに、これを受けて昨年11月29日には大手キャリア4社が、規制強化を求める考えを明らかにしています。
参考▷ 朝日新聞「1円スマホの競争過熱、規制強化を携帯各社自ら提案 国の有識者会議」
現時点ではまだこうした提案が出てきているという段階ですが、規制に向けて総務の有識者会議で話し合いが着々と進められています。そのため、今回のような極端な値引が規制されるのは時間の問題と思われます。気になる1円スマホがある方は、早めに手に入れるとよいでしょう。