昨年は、回線契約を条件に、iPhoneやGoogle Pixelといった本来高額なスマホが「一括1円」で買える施策が3月を中心に全国的に行われていました。
しかし、今年は2年後の返却を条件に実質1円とする施策は多数あるものの、一括1円のものはほとんど見られません。この記事では、そんな現状を考察を交えてまとめます。
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姿を消した「一括1円」
筆者は常日頃から近くの大型ショッピングモールを回って、スマホが超格安で手に入る施策をチェックし続けています。
そのような施策を使って、昨年3月には「iPhone 12」を一括1円で購入しています。主にこうした施策は、回線を他社から乗り換えるか、22歳以下の新規契約等を条件に行われていました。

今年もこうした施策をチェックし続けているのですが、iPhone13 & 14シリーズやPixel 7シリーズといった本来高価なスマホの一括1円を全く見かけません。
最近のトレンドは元値7万円前後 → 一括1.5万~5,000円前後?
最近見つけた比較的条件の良い一括系施策では、「iPhone SE3」の一括14,800円や「Pixel 6a」の一括4,800円がありましたが、どちらも元値7万円前後の製品であり、昨年のiPhone 12シリーズ一括1円(当時の元値は10万円前後)ほどのインパクトはありません。
- iPhone SEが一括14,800円
- Pixel 6aが一括4,800円
その他、「AQUOS sense7 plus」の一括9,800円が見つかりましたが、こちらも元値が7万円前後の製品です。

AQUOS sense7 plusが一括9,800円

元値10万円以上のスマホは、2年後返却の実質1円や24円が中心に
元値が10万円を超えるものについては「iPhone 13」シリーズや、「Xpeira 5 IV」、「AQUOS R7」等で実質1円または実質24円が多数見つかりました。

iPhone 13, 13 miniが実質1円

Xpeira 5 IVが実質24円(左)

AQUOS R7が実質24円
ここで言う「実質1円(24円)」とは、いずれも約2年後に端末を返却することで、最終的な負担額が1円(24円)となるものです。
2年後に返却することが問題なければお得であることに間違いはありませんが、やはり返却不要の一括と比べればインパクトは劣ることは否めないでしょう。

一括&実質施策の仕組み
以上の施策は、都市部では大型家電量販店、地方では大型ショッピングセンター内の家電量販店や、携帯ショップの出張販売で行われていることがほとんどです。
ドコモ、au、ソフトバンクで細かい違いはあるものの、内容はほとんど共通。「一括」系は端末自体を割引+回線契約の割引、「実質」系はこれに約2年後の返却による残債免除を組み合わせたものです。
例として、上記で示したソフトバンクの「Pixel 6a 一括4,800円」と、「AQUOS R7 実質24円」を表に示します。
Pixel 6a | AQUOS R7 | |
通常価格 | 67,680円 | 189,360円 |
端末値引 | 新規/機種変更/端末単体で 35,880円割引 | 新規/機種変更/端末単体で 73,056円割引 |
回線契約値引 | 乗換/22歳以下新規は 22,000円割引 さらに家族同時契約で 5,000円割引 | 乗換/22歳以下新規は 21,600円割引 |
新トクするサポート | なし | 94,680円(3,945円×24回) を支払い免除 |
最終価格 | 一括4,800円 | 実質24円(1円×24回) |
また、Pixel 6aについてはGoogle Playギフトコード5,000円分が貰えるので、それを踏まえれば実質0円以下とも言えるでしょう。
こうした大型の割引が行われる背景には、キャリアから代理店へのMNP(乗り換え)獲得の厳しいノルマがあるとされています。そのため、こうした割引は回線獲得競争がピークを迎える3月に一層過熱化する傾向があり、昨年は全国的にiPhoneが一括1円で投げ売りが行われていた訳です。
現在でも一括1円のスマホ自体はあるものの、それは元値が2~3万円台の低価格なものばかりで、上記で紹介したものと比べてあまりお得感はありません。
以上の通り、今年は3月に入ってもその他の月とあまり変わらない施策ばかりとなっていますが、その理由は国による規制が厳しくなっているからと思われます。
詳細は下記の通りです。
今後も「一括」系施策は寂しい状況が続く?
独占禁止法に違反する恐れ
本来高額なスマホが一括1円で買えてしまう施策は、一見すると消費者にとってはありがたみしかないように思うのですが、健全な市場という観点からは大きな問題を孕んでいます。
これについて、総務省や公正取引委員会(公取委)はかねてより問題視。今年2月24日に公取委が公表した『携帯電話の廉価販売に関する緊急実態調査』では、独占禁止法で禁止される「不当廉売」に当たる可能性があると結論付けられています。
元値で10万円を超えるようなスマホを一括1円にしてしまう極端な割引は、適切な価格で商品を提供している他の事業者の活動を困難にする恐れがあります。また、端末が市場価値よりも超格安で販売されてしまうことで、それらがフリマアプリ等でそのまま転売されてしまう問題も起きています。
回線契約による割引は2万円までのはずだったが......
元をたどれば、2019年に国は『改正電気通信事業法』を施行。同法では、極端な割引を規制するため、回線契約との同時契約で端末を割引できる上限を20,000円(税込22,000円)までと定めました。
しかし、その後、回線契約による割引だけでなく、端末単体での割引も組み合わせる裏技のような施策が登場。結局、同法に違反しない形に姿を変えて一括1円のiPhone等が復活したという流れがありました。
以降、新たな法律による規制は加えられていないものの、総務省や公取委の監視や指導という形で事実上の規制が強まってきました。そのため、回線獲得競争のピークを迎える3月に入っても一括1円のiPhone等が中々登場しない状態になっているものと思われます。
今後はゲリラ的に激トク施策あり?
一方で、こうした大型の割引が行われる背景には、キャリアから代理店へのMNP(乗り換え)獲得の厳しいノルマがあるとされています。こうした状況は解決しておらず、一括1円施策が全国で大々的に行われなくなっても、各代理店の判断でゲリラ的に行われる可能性はあるでしょう。
最近では、一括ではないものの、東京のとある店舗で最新の「iPhone 14 Pro」が実質23円で販売された例がありました。
▽遂に「iPhone 14 Pro」実質23円(1円×23回)の投げ売り始まる!元値約19万円が驚異の安さに
こうしたお得すぎる施策は、今後めったにお目にかかれないと思われるので、もし発見した場合は積極的に利用することをおすすめします。
なお、ネットでも店舗を構えるソフトバンク正規代理店【スマホ乗り換え.com】では、同様の施策をネットで申し込み可能。AQUOS R7などのAndroidスマートフォンはネットだけで申し込みが完結。実店舗へ行く必要はありません。
また、iPhone系は申し込み後に来店(東京池袋、大阪難波、福岡博多)が必要ですが、込み合う週末に店舗へ赴き、施策を探して長時間待つというウンザリな手間が省けます。詳細は以下の記事をご覧ください。
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