2023年1月24日から予約受付を開始した新型スマートフォン「arrows N F-51C」の10万円に迫る価格が高すぎると話題です。
そこで、この記事では「arrows N F-51Cは本当に高いと言えるのか」検証するため、似た性能の機種などと比較していきます。

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arrows N F-51Cの特徴
arrows N F-51Cは、ドコモが取り扱うAndroidスマートフォンで、2023年1月24日から予約受付を開始しています。発売は2月以降を予定しており、価格は9万8780円です。
主な特徴は以下の通りです。
ポイント
✅Snapdragon 695搭載の5Gスマホ
✅120Hz駆動の有機ELディスプレイ
✅1/1.55インチ大型センサーのメインカメラ(5030万画素)
✅ハンドソープで洗える高い防水性
✅おサイフケータイ対応
✅本体の外装67%に再生素材を使用
✅機種代金の1%相当を環境保護のために寄付
スペック面ではスタンダードなミドルレンジの一歩上を目指した感じがあり、arrowsらしくハンドソープで洗える高い防水性を備えています。
また「エシカル」を謳い、機種代金の1%相当を環境保護のために寄付することや、本体の外装67%に再生素材を使用しているというSDGsに適したスマホとなっています。
他社Snapdragon 695搭載機と比較
それでは、上記のarrows N F-51Cのスペックを踏まえたうえで、本機を同じSoC(CPU)を備えた他社の製品と比較していきます。
SoCはスマホの頭脳となる部分で、arrows N F-51Cは「Snapdragon 695」というチップを採用しています。採用している機種はかなり多く、性能的には3Dゲームを除けば十分といったミドルスペックのSoCです。
主な人気機種として「AQUOS sense7 plus(小型版のAQUOS sense7もあり)」「Xperia 10 IV」「OPPO Reno7 A」「Redmi Note 11 Pro 5G」が挙げられます。
価格✕︰めちゃくちゃ高い

再生素材使用も高コスト化の要因か
価格(税込) | |
arrows N F-51C | 98,780円(ドコモ) |
AQUOS sense7 plus | 69,840円(ソフトバンク) |
Xperia 10 IV | 64,152円(ドコモ) |
OPPO Reno7 A | 44,800円(直販) |
Redmi Note 11 Pro 5G | 44,800円(直販) |
ご覧のように、同じSoC(=似たような処理性能)の他社製品と比べて、arrows N F-51Cは圧倒的に高価となっています。

これだけ高価なのですから、SoCこそ同じでも他のスペックで圧倒してもらいたいもの。それでは以下、主要スペックを比較していきましょう。
画面◎︰高リフレッシュレートで目に優しい

ブルーライトもカット
画面 | |
arrows N F-51C | 6.24インチ, 有機EL, 解像度 FHD+, リフレッシュレート 120Hz |
AQUOS sense7 plus | 6.4インチ, 有機EL, 解像度 FHD+, リフレッシュレート 120Hz |
Xperia 10 IV | 6.0インチ, 有機EL, 解像度 FHD+, リフレッシュレート 60Hz |
OPPO Reno7 A | 6.4インチ, 有機EL, 解像度 FHD+, リフレッシュレート 90Hz |
Redmi Note 11 Pro 5G | 6.67インチ, 有機EL, 解像度 FHD+, リフレッシュレート 120Hz |
画面スペックについてはかなり似通っていますが、Redmi Note 11 Pro 5G、AQUOS sense7 plus、arrows N F-51Cはいずれも有機ELで滑らかに動作する120Hzのリフレッシュレートに対応。よって、arrows N F-51Cの画面は優秀なスペックと言えます。
カメラ◯ or △︰独自の画質処理モードが鍵だが......

Dual PD AFも対応
カメラ | |
arrows N F-51C | メイン:5030万画素 超広角:810万画素 |
AQUOS sense7 plus | メイン:5030万画素 超広角:800万画素 |
Xperia 10 IV | メイン:1200万画素 超広角:800万画素 望遠:800万画素 |
OPPO Reno7 A | メイン:4800万画素 超広角:800万画素 マクロ:200万画素 |
Redmi Note 11 Pro 5G | メイン:1億800万画素 超広角:800万画素 マクロ:200万画素 |
画素数でカメラの良し悪しはあまり計れず、またこうしたミドルレンジモデルの場合、メイン以外のカメラはおまけ程度の性能です。
最も重要なのはメインカメラのセンサーサイズで、基本的には、大きければ大きいほど取り込める光の量が多く、良い写りになります。
最も大きいのがRedmi Note 11 Pro 5G(1/1.52インチ)で、AQUOS sense7 plus(1/1.55インチ)がこれに次ぎます。ただし、筆者の体感的には、独自の画質エンジンでカメラをアップグレードしているAQUOSの方が画質は上位です。
arrows N F-51CもAQUOS sense7 plusと同じセンサーを搭載していると言われており、更に独自の「Photoshop Express モード」により写真を美しく仕上げるとのことです。arrows N F-51Cがカメラ性能で他社に優るかどうかは、このモードの完成度にかかっていそうです。

電池△︰長寿命(らしい)だが容量自体は多くない

長寿命の電池と謳う
電池 | |
arrows N F-51C | 4,600mAh |
AQUOS sense7 plus | 5,050mAh |
Xperia 10 IV | 5,000mAh |
OPPO Reno7 A | 4,500mAh |
Redmi Note 11 Pro 5G | 5,000mAh 67W急速充電 |
単純にバッテリー容量で見ると、AQUOS sense7 plusが最上位。筆者の体感とTwitter等での評判を総合的に見ると、AQUOS sense7 plus、Xperia 10 IV、Redmi Note 11 Pro 5Gはいずれもバッテリー持ちが良いと評判です。
また、Redmi Note 11 Pro 5Gについては唯一高出力(67W)の急速充電に対応しており、充電にかかる時間は他社の半分またはそれ以下となっています。
arrows N F-51Cは長期間使っても劣化しにくいと謳いますが、他社製品も似たような謳い文句でPRしており、こればっかりは実際に年単位で使ってみないと分かりません。
単純にこれらのスぺックを見ると、arrows N F-51Cの優位性はあまり無いでしょう。
▽Redmi Note 11 Pro 5Gをお得に購入する方法
防水、おサイフケータイ◎、他社回線✕

ハンドソープでの丸洗いも可能
防塵防水/耐衝撃 | おサイフケータイ | |
arrows N F-51C | IP68 / MIL-STD-810H | あり |
AQUOS sense7 plus | IP68 / MIL-STD-810G | あり |
Xperia 10 IV | IP68 | あり |
OPPO Reno7 A | IP68 | あり |
Redmi Note 11 Pro 5G | IP53 | あり |
防塵防水性能については、Redmi Note 11 Pro 5G(IP53, 生活防水)以外は一定の水没にも耐えられる最高クラス。更にarrows N F-51Cは、AQUOS sense7 plusと同様に米国国防総省の調達基準「MIL」対応で耐衝撃性能も高いと思われます。
おサイフケータイに関しては、いずれも対応。これらを全て満たすうえに、ハンドソープでも洗えるarrows N F-51Cは優秀なスペックです。
ただし、他社プラチナバンドは非対応となっており、ドコモ以外の回線で使うと、屋内や地下など繋がらない場所が多々あると思われます。そのため、他社回線で使う場合には注意が必要です。
結論︰他の機種を買おう!そして自分で寄付しよう!
総合的に見ると、arrows N F-51Cのスペックは他社と同等か一定の優位性を持つことが分かります。しかし、ここで改めて価格を比較してみましょう。
価格(税込) | |
arrows N F-51C | 98,780円(ドコモ) |
AQUOS sense7 plus | 69,840円(ソフトバンク) |
Xperia 10 IV | 64,152円(ドコモ) |
OPPO Reno7 A | 44,800円(直販) |
Redmi Note 11 Pro 5G | 44,800円(直販) |

スペックの近いAQUOS sense7 plusと比べても3万円近くも高くなっています。はっきり言うと、やはりarrows N F-51Cの価格は高すぎるでしょう。
一応擁護しておくと、arrows N F-51Cの価格は「いつでもカエドキプログラム」前提と思われ、2年後に返却すれば実質48,840円です。割引率は50%以上と、他の製品の基準(約30%程度)と比べれば大きめに設定されています。
ただそれを使っても、そもそも返却不要のOPPO Reno7 AやRedmi Note 11 Pro 5Gよりも高いので、やはり微妙さは否めません。

余談︰そもそも10万円のラインはハイエンドの戦場

サステナブルは良いことだ。良いことだけど......
以上の通り、同じSoCを搭載する他社製品と比較すると、かなり高めなarrows N F-51Cですが、そもそも10万円近い価格設定はハイエンド機種のラインです。
価格 | |
arrows N F-51C | 98,780円(ドコモ) |
Google Pixel 7 | 82,500円(直販) |
Zenfone 9 | 99,800円 (直販) |
Xiaomi 12T Pro | 10,9800円(直販) |
これらの機種はより優秀な性能を持ち、単純に処理性能で言えば最も安いGoogle Pixel 7(SoC: Tensor G2)でさえ、arrows N F-51Cの2倍以上。他の2機種(SoC: Snapdragon 8+ Gen 1)はおよそ2.5倍以上の性能を持っており、ゲーム性能では間違いなく歯が立ちません。
▽キャンペーン利用でGoogle Pixel 7を超低価格で手に入れることも可能
もちろん画面やカメラといった他のスペックでも、arrows N F-51Cはハイエンド機種には劣ってきます。特にカメラではSnapdragon 695の画像・動画処理性能の低さが足を引っ張るでしょう。
以上の通り、同価格帯という視点で比較してもarrows N F-51Cはかなり微妙です。環境保護の取り組みよりも前に、先にやるべき事があったのではないか......このスマホについては色々と疑問に思わざるを得ません。