2023年10月3日、シャープは新型スマートフォン「AQUOS sense8」を発表しました。
昨今は円安や半導体不足の影響か、旧モデルとほぼ変わらない新モデルが多数登場する中、逆にAQUOS sense8は大幅にスペックが強化。以下、進化したポイントや懸念点、価格等をまとめていきます。

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SoCが「Snapdragon 6 Gen 1」に
AQUOS sense8は、SoCが「Snapdragon 695」→「Snapdragon 6 Gen 1」になりました。SoCはスマートフォンの頭脳にあたる部品で、前モデルから約3割も性能が向上したと謳われています。
SoC情報に詳しいメディア「reaMEIZU」によると、Snapdragon 6 Gen 1はAnTuTuベンチマーク(Ver.10)で60万点に迫るスコアを記録しており、実際に3割程度の性能向上が認められるとのことです。
これにより日常動作だけでなく、高い処理性能を要する3Dゲームでも一定の動作性能向上が見込まれます。

なお、AQUOS Sense7はカメラ画質向上のために独自の画像処理エンジン(ProPix 4)まで積んでいました。
実はこれが厄介な問題を引き起こしており、シャッターを切るたびに処理落ちが発生するという欠点がありました。明らかにSnapdragon 695の性能では扱いきれていなかったので、新SoCの採用は撮影体験の向上にも繋がりそうです。
リフレッシュレートが疑似180Hz対応に
AQUOS sense8は、画面の最大リフレッシュレートが60Hz → 90Hz(疑似180Hz)になりました。
リフレッシュレートとは画面を書き換える回数を示しており、90Hzであれば1秒間に90回画面を書き換えることになります。また、AQUOS sense8はこれに連動して黒画面を挿入し、疑似的に180Hzに見える機能も対応しました。
黒画面の挿入は高速で書き換わっているため、人間の目で確認することはほぼ不可能。ただただ滑らかに見える......と一見メリットしかなさそうですが、黒が挿入されるということは確実にチラつきは増えるはずで、目の疲労はむしろ増加するのでないかという懸念があります。

なお、ディスプレイサイズは6.1インチで低消費電力のIGZO OLED(有機EL)を採用。ピーク輝度も1300nitと高めで、夏の強い直射日光でも視認性は高そうです。
メインカメラにOIS搭載
AQUOS sense8は、メインカメラにOIS(光学式手振れ補正)を搭載しました。
さらにEIS(電子式手振れ補正)も備わっているため、二重の手振れ補正により、ブレのない写真や動画を撮影することができるでしょう。

また、光学2倍相当の高解像度ズームに対応し、ズームしても高い解像感で写真を撮ることができます。
これはインセンサーズームとも呼ばれる技術で、5030万の高画素を生かし、中央部をクロップすることで高い解像度のままズームできるもの。
一方で「明るい場所では自動で~」とあるように、逆に言えば暗い場所では効果を発揮できません。これは通常撮影時のピクセル融合を行わないため、1ピクセル当たりのサイズが非常に小さく、感光性能が弱いためでしょう。
センサーサイズ自体は1/1.55型とミドルレンジクラスのスマホとしては大きいので、1倍での撮影であれば高い夜景性能が発揮できると思われます。
また、独自の画質処理エンジンが「ProPix 5」にアップグレードされ、白飛びや黒つぶれを軽減し、細部まで美しく、解像感のある写真が撮れるとのこと。
前述の通り、AQUOS sense7(ProPix 4)ではこれが諸刃の剣となり、シャッターを切ると少し待たされるという欠点ともなっていたのですが、SoCもアップグレードされたことで撮影体験の向上が期待できます。

その他、800万画素の超広角カメラも搭載しています。
バッテリーが5000mAhに増量
AQUOS sense8は、バッテリー容量が4570mAh → 5000mAhに増量されました。それにもかかわらず、重量は約158g → 約159gと1gだけの増加に留まっています。
バッテリー持ちの長さについてはAQUOS sense7でも非常に評価の高かったポイント。AQUOS sense8では、2日間使っても余裕のバッテリー持ちと謳われています。
また、3年使っても電池寿命は90%以上を維持するとのことで、バッテリー持ちとその劣化を気にするユーザーから、強く支持されるでしょう。
長期アップデート保証に対応
AQUOS sense8は、最大で3回のOSバージョンアップに加え、5年間のセキュリティーアップデートに対応予定です。
これまでのAQUOS senseシリーズは電池寿命が長く頑丈を売りにしながら、アップデートは短いというチグハグさが欠点でした。長期アップデートが保証されるのであれば、セキュリティや使用体験でも長く安心して使えそうです。
なお、今回も頑丈さは健在で米軍事規格のMIL16項目(耐衝撃等)に準拠。もちろんIP68防塵防水も備えています。

しかし、価格は高くなった
AQUOS sense8は、ドコモ、au、UQモバイル、楽天モバイルなどで発売予定です。sense7と同様に特定の販路が無いメーカー版も後日発売されると思われますが、現時点では未発表です。
現時点で判明している価格はドコモで税込62,150円、楽天モバイルで税込63,800円となっており、AQUOS sense7(楽天モバイル版:49,980円)よりも値上がり。
スペックは大きく進化しているので、値上げされたことには納得できるのですが、以前ほどお財布に優しいスマートフォンではなくなったのは残念な点でしょう。
まとめ:値上げは残念だが大きく進化
以上の通り、AQUOS sense8はSoCだけでなくカメラやディスプレイも大きく進化しました。
一方で、価格はAQUOS sense7よりも値上がり。昨今の物価高から、多くのメーカーが「価格は抑えつつも前モデルからほぼ進化無し」という新型ミドルレンジモデルを発表する中、シャープは逆にスペックも価格も上げる攻めの姿勢です。
しかし、近年ではハイエンドモデルの価格が高騰し、20万円を超えるスマホも。最近のハイエンドは高すぎて手が出ない......というユーザーが、少し高めのスペックで値段が抑えられたAQUOS Sense7を選択するという消費行動も考えられるでしょう。